「山の恵」 設立趣旨

山の恵

2017年12月11日 13:39




熱海地区内における農業の健全な発展に寄与するため、農作物や農地へ害をもたらす野生動物を適正規模に抑制することを目的に、あいら伊豆農業協同組合熱海ワナの会(以下「ワナの会」と略す)はワナ猟による捕獲作業を行ってきました。

ワナ猟では捕獲後の野生動物に止め刺しなど危険を伴う作業が必要ですが、ワナの会メンバーの高齢化は進行し、止め刺しや事後処理が困難になるなど活動継続が懸念される状況にありました。捕獲した野生動物は解体処理施設がないため、多くは埋設処分されるなど、廃棄されているのが現状です。農地や農作物に害を及ぼすとはいえ、本来は「山の恵」である野生動物を捕獲し廃棄するだけでは地域資源を活かせていないことにもなり、将来的な持続性については悲観的な状況にありました。

近年、シカやイノシシなどの野生動物は急激に増加しています。
捕獲圧力が弱まれば、地区内の動物が増加することに加えて近隣地域からの流入も加わり、地元農業にとって甚大な被害を及ぼす可能性も懸念されます。
一方で野生のシカやイノシシなどの肉は、滋味豊かな高級食材「ジビエ」として近年非常に注目されており、地域振興に貢献している例も見られます。

ワナの会による野生動物の捕獲活動を継続し地域農業の被害を抑制していくためには、女性や高齢者が不安なくワナ猟を続けられ、若い世代にも魅力的であるようでなければなりません。
そのためには地域の「山の恵み」を活かし、経済的にも自立した持続力のある仕組みづくりが必要です。
そのための一方策として、捕獲した野生動物を適切に処理することが可能な関係法令を遵守した解体処理施設がぜひ必要との声がワナの会のなかでも大きくなり、野生動物解体処理施設『山の恵』を新規設置する運びとなりました。

関連記事